「発酵」ってなんだろう
発酵食品と言えば、日本の食材!
――なんてイメージしてしまう人もいるのではないでしょうか。
特に僕は、たびたびこの『はま通信』で味噌や発酵食品について話題に出していますから、もちろん真っ先に思い浮かべたのは味噌でした。
ああ……悲しき職業病かな。
実は、私たちが普段食べているものにも、海外からやってきた発酵食品がたくさんあります。
「発酵」とは、ラテン語で「湧く」という意味です。
ビールの製造に使われる酵母もアルコール発酵作用ですね。ビール造りは紀元前3000年くらいから始まったと言われていますので、発酵の歴史も同様に長いのです。
とはいえ、今で言う「発酵」は、微生物が発見された17世紀後半から発展してきました。
当時、オランダで、ビールの中に酵母菌が発見され話題になりました。さらに時は200年ほど流れ、発酵が微生物によるものであるとわかってきたのは、なんと最近、19世紀に入ってからです。
体に良いと言われる発酵食品は、その後さまざまな形で、それぞれの国の食文化を支えてきたのです。
中国のメンマ
ラーメンになくてはならないメンマは、中国の代表的な発酵食品です。これは、「麻竹」と呼ばれるタケノコをボイル発酵したのち、乾燥させた乾物です。
メンマは元々はタケノコですから、食物繊維やカリウムが多く含まれています。さらに、発酵のおかげで、独自の旨味成分と栄養を作り出しています。
ラーメンのトッピングの他にも、そのままビールのおつまみにしたり、野菜炒めやチャーハンにしたりして使える、万能食材ですよね。
特に僕がおすすめしたいのは、豚肉とメンマを炒めたものです。ちょっぴり辛口な味付けにすれば食も進むし、お酒との相性もバツグンです! 実は豚肉とメンマって、相性が良い組み合わせなんですよ。
フィリピンのナタデココ
「え?これも?」と思われそうなのが、フィリピンのナタデココ。実は、これも発酵食品です。
日本で大きなブームが巻き起こったのは、1993年春のこと。なんと、現在(2015年)から22年も前になるのです。
22年の月日と言えば、生まれたての赤ちゃんがストレートで進学・進級したとして、大学卒業を向かえ社会人1年生になる年齢ですね……いやぁ、月日の流れって早いですね。
そんな22年前の春、ナタデココが日本中で一大旋風を巻き起こしました!
当時は甘く煮詰めたナタデココが主流ですが、現在はいろいろなデザートに使われていますね。特にアロエや他のフルーツと混ぜ合わせたヨーグルトは、小さな子供から若い世代に人気があります。
ナタデココは、ココナッツの果汁を殺菌して砂糖を加え、酢酸菌を混ぜて発酵させたものです。発酵によって膜がはり、あのプルプルコリコリとした独特な食感になっています。
ナタデココの主成分である微生物セルロースは、健康を気にする人にぴったりの食物繊維です。微生物セルロースは、ナタデココの製造過程で使われるアセトバクター・キシリナムという酢酸菌が作り出します。
微生物セルロースには、血液中のコレステロールを減らす作用が有り、便秘の解消や大腸ガンの予防にも効果を発揮すると言われています。
ヨーロッパのピクルス
ヨーロッパで漬物といえば、言わずと知れたピクルスです。実は、これも発酵食品。野菜だけでなく果物や卵も漬物にしますし、日本の漬物とは違い、さまざまな香辛料が使われています。
ピクルスの歴史は古く、4000年以上昔からあったようです。ピクルスが最初に食べられるようになったのは、紀元前2000年頃から。はじめはチグリス川流域に、その後ヨーロッパ全土に、そしてアメリカへと、ピクルスを食べる地域が広がっていきました。
ピクルスには、発酵タイプと無発酵タイプがあります。発酵タイプは、食塩と香辛料に食材を数日漬け込んで発酵させ、強い酸味と風味を食材につけます。同じ作り方をしているのが、ドイツのザワークラフトですね。――そう、ザワークラフトも発酵食品です。
僕たちがハンバーガーに挟んで一緒に食べるピクルスは、無発酵タイプです。一度塩漬けした食材を塩抜きしてから、酢やワインのような液に漬け込みます。
ピクルスには、乳酸菌が非常に豊富に含まれていますので、便秘や肌荒れに効果抜群です。特に、腸内環境を気にしている人にはおすすめです。さらに、ピクルスにはクエン酸も豊富に含まれていますので、疲労回復にも効果が期待できます。
無発酵のピクルスも、漬け込み液である酢に疲労回復、食欲増進、消化不良改善などの作用がありますので、どちらも生活習慣病予防に効く「西洋版保存食」だと思って間違いありません。
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