全国各地を旅してお届け!
僕が個人的におすすめしたい漬物を紹介している、漬物紀行。
読んでいただいている読者のみなさんがお住まいの地域を聞いてみますと、実に全国各地さまざまでして。
ありがたいことに、ご当地漬物の情報なんかもこっそりと教えていただいくこともあり、旅好きな僕としては、ますます全国各地に足を運んで「うまいもん」を見つけたいと思う次第です。
そんななか、地方在住の読者さんより、こんな質問を頂きました。
「東京に“ご当地漬物”はないんですか?」
おお……意外な落とし穴!
都内に住んでいることもあって、地方を旅するときには意識もしませんでした(笑)
レジャーや観光目的で東京を訪れる人も多い今日この頃。地方都市で生活していたときには、やはり「東京=大都会」というイメージが強かったです。今でもそのイメージは変わりませんが、生活してみると意外と「普通」だとも感じますね。
さあ、そんな東京都ですが。ご当地漬物は……ありますっ!
(ちょっとネタの鮮度が古いですかねぇ……もうこのネタもおやじギャグかな)
東京都が誇るご当地漬物、それは「べったら漬け」です。
名前だけは聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、東京名物「べったら漬け」を紹介しようと思います。
旅行記とは少し異なりますが、ぜひ東京にお越しの際には参考になさってくださいね。
■What’s 「べったら」?
日本国内のみならず、海外からの観光客も多い東京都。
そんな大都会が誇る名産漬物が、「べったら漬け」です。
名前がオシャレかどうか――は、みなさまの判断にお任せします(笑)
さて、「べったら漬け」とは、大根の麹漬けです。
大根の皮を厚めにむき、塩で下漬けしたあとに、砂糖・米・米麹で本漬けを行います。食感はポリポリと歯ごたえが良く、味付けも甘めなので子供にも評判の良い漬け物ですね。
そんな「べったら漬け」を説明する際には、9割9部9厘の確率で聞かれることがあります。
それは、「べったら」の意味。
まあ……僕も詳しく調べるまで知らなかった口なので、一緒に学びましょう。
調べてみたところによりますと、べったら漬けの「べったら」とは、漬物の表面についた米麹が「べとべと」していることが語源になっている説が有力らしいですね。
べとべとが訛って「べったら」という表現に変わり、「べったら漬け」という名前で定着したようです。漬物に使う調味料が砂糖・米・米麹ですから、確かにべたべたする要素はたくさんありますね。
……と、日本語で説明するのは、実に簡単です。
ですが!
しかし、これを外国人観光客に説明するとなると、途端に難しい!
ベリーディフィカルトなので、説明を割愛して、実際に試食してもらいましょう。そうすると、「ワオ! エクセレント!」なんて反応が返ってくるので、おいしいものは万国共通だと常々感じております。
某人気ドラマ番組でもこっそり登場?
今や全国区となっている「べったら漬け」なので、実は東京の名産品ということを知らない人も、なかにはいらっしゃることかと思います。
地方都市のスーパーでも、黄色く色づけされた「たくあん」ではなく、色は白く麹が一緒に入っている「べったら漬け」を目にする機会も多いですし。
ですが、これが東京の名産品であることに変わりはありません。
「東京新高屋」という名店が作る東京べったら漬けは、東京都中央区観光協会の推奨名産品に認定されており、観光客のお土産品としても有名です。
さらにこのお店のべったら漬けは、TBS系列で放送された大ヒットドラマ『天皇の料理番』の原作となる、『昭和天皇の料理番』内でも登場しています。
意外に歴史が長いべったら漬け
同じ大根の漬け物である、「べったら漬け」と「たくあん」の違いは何でしょう?
まずはパッと見てわかるように、「色」ですね。
たくあんと言えば、ウコンなどで染めた“黄色”が一般的なイメージでしょうか。ですが、べったら漬けは着色を行わないので、色は大根本来が持つ美しい“白”。さらに、砂糖・米・麹が漬け込むメインとなるので、切り口には艶やかさも見て取れます。
もうひとつ、べったら漬けの特徴としては、たくあんと比較して3倍程度の厚さに切ってある点も挙げられますね。非常に噛みごたえのある漬け物となっています。
素朴な味わいと甘さが楽しめる「べったら漬け」。
東京にお越しの際には、ぜひご賞味くださいね。
ちなみに、漬け込んで10~15日ほどが食べごろで、漬け物ですが日持ちはしません。
独特の風味を味わうためにも、開封後は早めに食べ切ることをおすすめします。