春の嵐が到来していた某日、僕は「国民の幸福度総合評価No.1」に輝いた場所を旅行で訪れていました。
――さあ、みなさんは、どこの都道府県だかわかりますか?
タイトルでネタバレしているとか、つっこんではいけませんよ(笑)
……はい、もうおわかりですよね。
今回は、福井県を訪れました。
実はこの福井県、2014年度の調査で「国民の幸福度総合評価No.1」に輝いています。自然が豊かで、海の幸も山の幸にも恵まれている地域。良い意味で「田舎暮らし」が、かっこよく言い換えると、「スローライフ」が満喫できそうなイメージもあります。
そして、福井県の観光名所と言えば……東尋坊!
『火曜サスペンス劇場』など、サスペンス系のドラマでは崖のシーンがよく出てきますが、「東尋坊」でその撮影が行われていることも多くあります。最近はまるで『天空の城ラピュタ』のような景色が見れると、「越前大野城」の雲海も有名になりました。
このように観光資源も豊富な福井県で、少し気になる漬け物を発見。
それが、「へしこ漬け」です。
へしこ……へしこ!?
あまり聞きなれない「へしこ」という言葉に、僕は興味津々です。そこで今回の福井FOOD紀では、福井県若狭地方の伝統料理「へしこ漬け」を紹介します。
それと福井県のプチ情報ですが、福井県三方郡美浜町は、演歌歌手・五木ひろしさんの出身地でもあります。……本当にプチ情報ですね、はい。
そもそも「へしこ漬け」とは?
福井県ではかなりメジャーな「へしこ漬け」ですが、全国的にはあまり耳にしない言葉ですよね。うむ……へしこ。へしことは、いったい何だろう。
謎多きへしこですが、ここはきっちりと調べてみようではありませんか。
まず「へしこ漬け」とは、福井県若狭地方の郷土料理です。サバ・イワシ・フグなどを塩で下漬けしたあと、ぬか床に1年ほど漬け込んだ漬け物を指します。
現在は水産加工品扱いになりますが、塩で下漬けし、ぬか床に長期間漬け込む工程がありますので、ここでは「漬け物」として紹介します。
名前の由来も諸説あり、「いわしの呼称である“ひしこ”が転じた」「押し込むことを圧(へ)仕込むと言った」などが語源として挙げられており、現在は「へしこ漬け」で定着したようです。
この若狭地方は福井県内でも海が近く、海産物が豊富にとれる地域です。そのため、豊漁のときには大量にへしこを仕込み、保存食として活用してきたという歴史もあるという話でした。
有名なのは「サバのへしこ」
へしこ漬けの中でも有名なのは、サバを使った「サバのへしこ」ですね。僕もまずはこの、サバのへしこを味わうことにしました。
地元の奥様に食べ方を聞いてみると、漬け込んでいる糠を軽く落として、焼いて食べるとおいしいとのこと。まずはおすすめされたとおり、軽く糠を落とし、こんがりと焼いてみます。
いざ、実食――。
……うん。
一口含んだ感想は、「お? 塩味が強いかな?」ですね。
へしこ自体、まずは魚を塩漬けにするのだそうです。なので当然、塩辛い。……いや、“しょっぱい”といった表現のほうがぴったりかもしれません。
でも一方では糠漬けされているため、独特の風味と旨味も口いっぱいに広がります。これは……そう、辛口の日本酒とよく合いそうな味ですね(笑)たくさん食べるのではなく、小さく一口ずつ食べると、芳醇な風味が広がります。
ちなみに、糠の焦げたところがおいしいという意見もありますので、付いている糠を落とすときの量はお好みで。僕が食べた印象としては、焼いたへしこ漬けを小さくしたものをご飯の上に乗せ、お茶漬けにして食べてもおいしいのではないかと思いました。
一口目はしょっぱさを感じましたが、二口目からはなんとも言えない、後引くおいしい味と風味が広がりますよ。有名なのはサバのへしこですが、現在も若狭地方ではイワシやイカ、ハタハタやフグも「へしこ漬け」にしているそうです。
「へしこ」は観光名所
(引用元:■へしこ館 – heshiko.com 千鳥苑ホームページ)
ちなみに今回ご紹介した「へしこ」ですが、実は福井県の隠れた観光名所でもあるんです。福井県三方郡美浜町にある、へしこ漬けを作る工程が見学できる「水産加工場 へしこ館」ですね。
名物の「サバのへしこ」を作る工程が誰でも見学できますし、もちろんその場で購入することもできます。他にも干物や燻製など、美浜名物の魚介類の加工場なので、目で見て楽しめますね。
お土産も充実していますから、道の駅感覚で立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
また、冒頭でもお伝えしたとおり、福井県は演歌歌手の五木ひろしさんの出身地でもあります。この「水産加工場 へしこ館」の本店である「若狭海遊バザール千鳥苑」には、五木ひろしプチミュージアムがあります。
五木ひろしさんの魂の演歌をBGMに、名物のへしこ漬けを嗜む。
……うーむ、これぞ大人旅ですなあ。