先日、滋賀県と武将・石田三成がコラボしたCM動画が話題になっていました。
CMのクオリティが昭和を感じさせる仕上がりで、「武将と言えば石田三成〜♪」というフレーズの、なんとも言えないシュールっぷり。
――さて、三成もそうですが、みなさんは滋賀県と聞いて何をイメージしますか?
有名どころとしては、琵琶湖ですね。日本最大の淡水湖にして、滋賀県の象徴!
大津の三井寺や石山寺など、県内各地に名だたる古社寺も有名ですね。
他には? と聞かれると……近隣の大阪や京都と比べ、若干インパクトには欠けるという本音もチラリ。でも滋賀県には、想像以上においしい季節の漬け物があるんです!
そこで今回は、滋賀県に伝わる人気漬け物を紹介します。
それが、「黄金漬け」。
春限定、別名「畑の鮒ずし」とも呼ばれている、有名な漬け物です。
黄金色に輝く美しい漬け物
「黄金漬け」は、大津市南東部の田上地域で作られている漬け物です。
名前だけでは、どんな漬け物なのか、ちょっとイメージしにくいですよね。
黄金漬けの原料となるのは、菜の花です。菜の花と言えば、食用油の原料として有名ですし、最近はおひたしも全国に普及していますよね。
そもそも「菜の花」とは、アブラナ科の植物が花をつけたもの全般を指す言葉です。なので、大根やハクサイ、キャベツや野沢菜などを植えていて、それらにいわゆる“トウ”が立ってくると、すべて「菜の花」と呼ぶことができます。
田上地域ではもともと、この菜の花を、植物油を作るために栽培していたそうな。その生産過程で、間引かれた菜の花を使って作り始めた漬け物が、この「黄金漬け」なのです。
別名は「畑の鮒ずし」
滋賀県名物・黄金漬けの特徴は、水を全く使わないこと。春に収穫した菜の花を、塩と唐辛子のみで半年以上も漬け込むという、独特の製法で作られています。
この菜の花は、漬け込んでいる期間に乳酸発酵が進み、完成すると味は酸っぱく、独特の発酵臭が感じられます。なので、地元では「畑の鮒ずし」なんて別名でも呼ばれているそうです。
昔は菜の花の葉も入れて漬け込んでいたそうですが、現在はほぼ黄色の花のみを使っています。もともと鮮やかな黄色の花を半年以上も漬け込むことで、輝く黄金漬けへと変化。まさに、「黄金漬け」の名前を冠するにふさわしい漬け物として仕上がるのです。
ちなみに、あえて短期間で漬けて、5日ほどでも食べられるようになります。こうして浅漬けしたものは「新漬け」と呼ばれ、色味もまだ黄金には輝いていません。半年以上という長い漬け込み期間があるからこそ、独特の黄金色へと成長するのですね。
気になる黄金漬けの味は?
(出典:守り伝えたい! 大津の逸品「菜の花漬」│大津市ホームページ)
手で摘んだ菜の花を丁寧に漬け込んだ黄金漬けは、滋賀県田上地区伝統の味として、知る人ぞ知る名産品です。
実際に食べてみると、まず、いわゆる“発酵臭”を強く鼻に感じます。
続いて酸味が広がりますが、懐かしさも感じる、素朴な味わいです。
「畑の鮒ずし」と呼ばれているとおり、味は好みが分かれます。好きな人はとことん好きな味。発酵食品が好きな人は、間違いなくハマる味ですね。
食べるときには、炊きたてご飯のお供にするのがおすすめ! 地元の方によれば、少し趣向を変えて、混ぜご飯や巻きずしの具材としても使っているそうです。
春に収穫して半年間は漬けこむので、食べられるのは、早くても秋頃から。非常に手間隙のかかる漬け物です。ですが、ひとたび漬け込むと、翌年の菜の花のシーズンまで十分に保存もできるそうです。
全国的にはまだメジャーではない漬け物なので、滋賀県を訪れた際には、ぜひ食べてみてください。