朝、タブリーズに到着した僕は、そのままトルコとの国境を目指しました。
国境で両替するときには、イランで使ったお金の総額がわかります。と言うのも、イランでは文字も数字も読めず、支払いはお金を見せて、相手が必要な分だけ取るという“されるがまま”方式でしたので(笑)。現在の所持金額すらもわからないまま、僕は両替へと向かいました。
その結果――なんと!
イランでは交通費も宿泊費も込みで、1日3ドル程度しか使っていないことが判明。
そう、まったくボラれてなかったのです!
イラン人は旅人に親切なだけでなく、みんな正直者だったのです。
これまでの国とは大違いの待遇に、僕はイランの人々に心から感謝しました。
ありがとう、イラン!
さて、日が暮れ始めてからも国境はものすごく混んでいて、順番待ちの人でごった返していました。トルコはヨーロッパと陸続きなので、自家用車で国境を越える人が大勢います。そのため、手続きに時間がかかるのかもしれません。
ふと見ると、順番待ちの人の中にドイツ人家族がいました。
小さな兄弟が僕を珍しそうに見て、「どこの国の人?」と尋ねてきたので、「日本人だよ」と答えました。「車に乗ってないの?」と不思議がるので、「バスで来たんだ」と言うと、「え~ッ、バスで!?」という、すごいリアクション。
……この子ら、日本の場所知らんな。ドイツは周辺国と陸続きなので、車も持たずに長旅する人が不思議なのかもしれません。「バスに乗る前に海を渡ってきた」って言ったら、パニックを起こすかも(笑)
そういえば、フランス以外のヨーロッパ人は、母国語の他に英語が話せます。実際に、ドイツ人のチビッコ兄弟も、僕に話しかけるときは英語に切り替えていました。彼らの母国語と英語は文法が同じで、単語も似ているんですよね。
ヨーロッパ人にとって、母国語と英語は「方言」程度の違いのようです。
それも、日本の標準語と九州弁ほども離れてませんね、きっと(笑)
夜の10時を過ぎた頃、ようやくトルコのドゥバヤジットという街のホテルにたどり着きました。ついに旅の目的地、イスタンブールがある国へと足を踏み入れたのです。