今回取り上げるのは、名古屋です!
愛知県名古屋市には、古くからお土産として伝わっている漬け物があります。

 

それが「守口漬け」。
今は名古屋の特産品ですが、実は江戸時代の大阪がルーツになっています。

 

なんとなく不思議ですよね。江戸時代から続く伝統の味が、どのような紆余曲折を経て名古屋の名物になったのか。とても興味深く感じます。

 

そこで今回の日本FOOD紀は、名古屋名物・守口漬けをピックアップ!
その魅力に迫りました。

  

守口漬けの起源は?

0325_02

今や名古屋名物となっている「守口漬け」ですが、その起源は愛知県内にはありません。

 

守口漬けに使われているのは、守口大根と呼ばれる大根。そしてこの守口大根は、元々は「河内国守口」と呼ばれる地域で栽培されていた大根です。

 

――そう! この河内国守口こそ、守口漬けのルーツ。現在の大阪府守口市周辺を指し、この地域で栽培されていた野菜を漬け込んだものが、守口漬けと呼ばれていました。

 

さらに歴史を紐解くと、時は戦国時代にまで遡ります。

 

豊臣秀吉が愛した味

0325_03

時は戦国、1589年のこと。

 

当時の守口村で休んでいた豊臣秀吉がその味を絶賛し、地名にあやかって「守口漬け」と名付けたと言い伝えられています。

 

さらに時代が流れ、江戸時代。

 

大阪街道の宿場町として、守口宿が置かれます。宿に泊まった客たちに守口漬けを振舞うと、たいそう味を気に入る客が多く、有名になっていったという話です。

 

ここまでが言わば、“第1次守口漬けブーム”。

 

ですが、守口宿は時代の変化に翻弄され、次第に衰退。結果、守口漬けは近隣の「奈良漬け」に吸収合併されるような形となり、一時期はあまり姿を見せなくなってしまいました。

 

しかし明治時代、守口漬けは「名古屋の名産」として、華麗なる復活を遂げます!

 

そのきっかけとなったのは、中京地域の実業家・山田才吉。彼は1881年、名古屋市中区に漬け物店「きた福」を開業しました。そこで販売されていたのが、塩漬けにした守口大根をみりん粕で漬け込んだ、「守口漬け」だったのです。

 

――そう、現在の名古屋土産として定番になっている守口漬けは、この「きた福」で販売されていたものがルーツだと言われているのです。

 

ちなみに、戦前は岐阜県の特産品というイメージが強かったそうです。現在のように名古屋土産の定番になったのは、昭和27年頃。戦後の時代の移り変わりとともに、名古屋土産の定番としてその地位を確立したと言えますね。

 

奈良漬けと並ぶ粕漬け文化

0325_04
(出典:名古屋名産-守口漬元祖/香の物造り |喜多福総本家

 

名古屋名産として定着した守口漬けは、とても手間隙のかかる漬け物です。漬け物屋に並んでいる守口漬けは「3年もの」と呼ばれ、文字どおり完成までに3年を要します。

 

まずは1年目。
大根の栽培から、守口漬け作りはスタートします。

 

漬け物に最適な守口大根を栽培するため、専用農家や自社で守口大根を育てている業者も多いそうです。大根の収穫シーズンは12月頃。新鮮なうちに、漬け込み作業が始まります。

 

2年目に入ると、塩漬けした大根の一度漬けを始めます。一度漬けによって、やや褐色に変わった守口大根は、春に二度漬けされます。新たな酒粕で漬け込むうち、漬け物自体の塩分がどんどん下がっていき、酒粕特有の甘みが強くなるのです。

 

最後に、仕上げが行われます。新たな酒粕に加えて味醂粕も追加し、守口漬け特有の風合いと色合いに変化します。

 

足掛け3年をかけて、市販されている守口漬けの完成となります。完成した守口漬けを見ると、断面は黄金色に輝き、「漬け物界の宝石」と称されるのも納得の出来栄えです。

 

味は奈良漬け同様、野菜の旨味に加え、酒粕特有の風合いが後引く味となっています。ほんのりと甘みもありますので、日本酒にもワインにも合いそうな味が魅力的です。

 

ちなみに奈良漬けと同様にアルコール分が多いため、食べ過ぎると飲酒運転になってしまいます。車の運転をされる方は、どうか自宅でゆっくりと味わってくださいね。

>>なかきれい酵素 期間限定 390円お試しモニター 実施中
>>新商品「ぬかべじ」販売開始! 初回500円キャンペーン 実施中
週1回、はま通信の更新記事と「メルマガ読者限定のお得情報」をお届けしてます。
メールアドレス  *