バタフライバレーを発つ日。
来るときと同様、僕は海パン1枚で荷物を頭に乗せ、沖の小舟までジャブジャブ泳ぎ、対岸のオルデニスの街まで運んでもらいました。
陸が近づいたら、また舟から海に飛び込み、頭に荷物を乗せてもらって泳ぎます。ビーチに着いたらシャワーで砂を落とし、海パン姿のまま、海辺のオープンカフェで日向ぼっこ。体が乾いたら、トイレで着替えて完了です。
さて、まずはイスタンブールへ戻るため、オルデニスからバスで1時間ほどのフェティエへ向かいます。トルコではバスの出発時間が不規則で、しかも予約ですぐに満席になってしまいます。
そこで僕は、バタフライバレーに向かう前に、実はフェティエで帰りの夜行バスを予約しておいたのでした。バックパッカーは、このような段取りが命ですね。
と言うのも、そもそも最初にイスタンブールに着いたとき、ヨーロッパを目指すには資金が足りなかったんですよね……。帰りのバンコクまでの飛行機代もイスタンブールが一番安かったので、トルコを観光してからイスタンブールに戻ることにしていたのです。
到着したイスタンブールは、相も変わらずカオスでした。
ニセ警官はいるし、爆発の音も聞こえます。
とてもじゃないですが、昨日までいたフェティエとは、同じ国とは思えません。
街はアラブ系、ロシア系、ヨーロッパ系と多様な人種でごったがえし、東洋と西洋の融合を感じます。イスタンブールには旧市街と新市街があり、僕はヨーロッパ側の新市街にある、バックパッカーが集まるストリートに滞在しました。
そこは、トラムと呼ばれる路面電車で3駅ほど行くと、ボスポラス海峡の渡し船が停まる港。まさしく、ヨーロッパとの境です。
その港の屋台で、僕は「サバサンド」に出会いました。
日本を出て以来……いや、大学入学以来ずっと食べていなかった、鯖の塩焼き。それがなんと、パンに挟まっているのです。思わず、「これは塩サバ定食や! なんで日本にないんや! トルコにやられた!」って呟くほどの衝撃。
――あれから20年、やっとサバサンドが日本にも登場しました。
みなさんは、僕と同じ感動を味わってくれたでしょうか?
もしまだなら、ぜひ、ボスポラス海峡の港で食べることをおすすめします(笑)