日本全国津々浦々、うまいもんを求めて旅をする男――それが僕。
今回お届けするのは、日本漬け物紀行の番外編となります。
これまで、数々の漬け物をご紹介してきましたが、その原点はやはり「各地域や家庭に伝わる味」だと思います。各地にさまざまな種類の漬け物があり、起源を遡れば、それこそ歴史の授業並に膨大なロマンが詰まっている食べ物。魅力的ですよね。
そんな漬け物に関連して、ある大会が開催されているのをみなさんはご存知ですか?
大会名は、「漬物グランプリ」。
その年のナンバー1漬け物を決める、全国レベルの大会です。
今回は、2016年4月28日~30日にかけて東京ビッグサイトで開催された決勝大会の内容と、グランプリに輝いた漬け物を紹介しようと思います。
「漬物グランプリ」とは?
そもそも「漬物グランプリ」とは、日本で最も古い加工食品である「漬け物」を個人やメーカーから募集し、優れた漬け物を選ぶコンテストです。
個人の部では、一般の方が考えた漬け物が審査対象となり、応募・審査料金は無料です。法人の部では、いわゆる“プロ”の漬け物を審査。参加条件もあり、全日本漬物協同組合連合会に所属している企業が対象なので、漬け物のプロたちによる熱いバトルが繰り広げられるというわけです。
名実ともに、漬け物界のNo.1を決める一大イベント。
今年はもう終わってしまいましたが、興味のある方はぜひ次回、見に行ってみてください!
法人の部グランプリは、○○○を組み合わせたわさび漬け
(出典:決勝大会 | 漬物グランプリ2016(レシピコンテスト))
今年、法人の部でグランプリに輝いたのは、株式会社田丸屋本店(静岡県)の「チーズとわさび漬けのマリアージュ カマンベールWASABI」。受賞した漬け物の写真がホームページ上に掲載されていますが、なんともおしゃれな一品ですね。
わさび漬けと言えば、日本の漬け物としては定番中の定番。
ピリリと辛味の効いたわさびは、白米との相性も抜群です。
そんなわさびとコラボしたのは、まさかの……カマンベールチーズ!
チーズとわさび漬けを和えた薄緑色の漬け物は、見た目にもおしゃれ。
また、準グランプリに輝いたのは、株式会社扶桑守口食品(愛知県)の「清頭米三謹製守口漬でらなが!」です。こちらは、以前にも紹介したことのある「守口漬」の最新版。黄金色に輝く守口漬は、なんともおいしそうです。
このように今回、グランプリと準グランプリに輝いたのは、中部地方の企業でした。
漬け物文化が盛んな地域ですから、納得の結果とも言えますね。
個人の部でグランプリに輝いたのは、○○を使った漬け物
(出典:決勝大会 | 漬物グランプリ2016(レシピコンテスト))
法人の部では、いわゆる「漬け物のプロ」たちによる熱き戦いが繰り広げられました。
対する個人の部は、言わば「家庭の味」での勝負となります。
法人の部と比べると、個人の部の漬け物は「お!?こんな発想もあるのか!」と驚くような、斬新なものがたくさん登場します。
グランプリに輝いたのは、「フルーツべったら漬け」。
正直、驚きました。完熟するとメロンのような味わいになるウリを塩漬けにするのは、確かに有名な手法です。ですがこちらは、他のフルーツを使って、しかもべったら漬けを作るという発想に驚かされました。べったら漬けは甘みが強いため、フルーツとの相性も意外と悪くなさそうです。
準グランプリに輝いたのは、「コリンキーの梅醤油漬け」です。
こちらは写真で拝見するかぎり、具材がシンプルで、ご飯に合いそうな漬け物でした。
その他にも個性豊かな漬け物たちが一同に集結した、漬物グランプリ。まさに「漬け物界のフェス」と言わんばかりの熱気を感じるイベントで、存分に満喫することができました。
定番の漬け物に少し手を加えるだけで、あんなにもおしゃれになったり、また違った味わいを楽しめたりするのですね。僕も会場で多いに刺激を受けたので、改めて、新たな漬け物の味を発掘する旅を続けようと思います。