吉野家でも熟成肉がお目見え
「ついに吉野家もか」と思った人は多いはず。大手のファミリーレストランが熟成肉のステーキをメニューに加えだしたと思ったら、いまや吉野家でも熟成肉が牛丼に使われています。今や、空前の熟成肉ブームですね。
(参考:吉野家の考える「熟成」とは|吉野家を知る|吉野家)
冷蔵した肉をそのまましばらく寝かすことで旨味が増し、それを使った料理は最高においしい――というのが、この「熟成肉」の触れ込みです。
しかも、この旨味は中途半端なものではなく、味の違いがそれほどよくわからない僕であってもわかるくらいだそうな。――と吉野家さんが豪語しているのだから、きっとそうに違いありませんね。
さらには、巷の飲食店でも熟成肉を使ったメニューが出始めていますし、専門店もあるほどなので、これはきっとうまいに決まっている。とはいえ、ちょっと頭をよぎる疑問があります。
それが、腐った肉との違い。
その肉を見たり食べたりして、「腐った肉」と「熟成肉」は違いがわかるんでしょうか? そういえば、祖父が「肉は腐りかけがうまい」と言っていたようにも思います。本当なんでしょうか……。
「熟成肉」と「腐った肉」はどう違う?
調べてみると、吉野家の場合は「熟成肉」を直に仕入れるわけではないそうです。アメリカの肉が港に着いたあと、肉が凍る寸前の温度に設定された冷蔵庫で半月ほど寝かせてから加工するとの話。これまでは、日本についた肉はすぐに加工されていたんですね。
突然ですが、ここでアドバイスをひとつ。
熟成肉は、調理されたものを見たほうがいいです。
――と言うのも実は、調理前の熟成肉を見たことがあるのです。その見た目は、「いやいや……これはちょっと……」と言いたくなるほどのものでした。なんたって、表面が黒ずんで、カビらしきものが生えているんですもの。
しかし、においは腐った感じのものではなく、カビ臭いわけでもありません。その点が、腐った肉ではない、熟成肉の所以なのでしょうね。
現在、食べることのできる熟成肉の多くは、「ドライエイジング」という方法で作られています。一定の条件のもとで風を当て続け、肉が含んでいる余計な水分を飛ばすというもの。そうすることで、タンパク質やミネラルが凝縮され、ぐっと旨味が出てくるのです。
そして、この乾燥の過程で肉に付着するのが、微生物が生成する酵素です。
これが銀座の一流料亭の板長のごとくマジックを使い、凝縮されたタンパク質を「銀座料亭の秘伝」とも言うべき旨味成分――もっとわかりやすく言えば、牛肉の何とも言えないハーモニーのベースになる成分(アミノ酸なんですけどね)に変えてしまうのです。
……要するに、熟成肉は旨味成分たっぷりの発酵食品なんです!
あー! 焼肉を食べたくなってきました!
日本にもあった熟成肉と、健康志向の赤身肉
日本にも実は、昔から熟成肉と呼べるものがありました。それが、「枝枯らし」と呼ばれる手法です。ドライエイジングとはちょっと異なるのですが、熟成された肉は味噌のような香りがして、より日本人好みの味のように思います。
ですが、枝枯らしにせよドライエイジングにせよ、どちらも素人ができるものではありません。適切な微生物をいかにうまく付着させられるかによって、熟成肉の良し悪しが決まるそうです。
また、多くの熟成肉は、赤身の肉を使っています。健康志向の人は、熟成肉がブームになる前から赤身を選ぶ人が多かったですが、ここにきて、ぐっと増えてきたという印象がありますね。それだけ、熟成肉が広く注目されている証拠とも言えるでしょう。
ちなみに、お肉をたくさん食べようとすると、いろいろと気になってくるポイントもありますよね。女性の方は、「肉食女子におくる、お肉をお腹いっぱい食べても後悔しない方法」などの記事が参考になるかと思います。よかったら、あわせて読んでみてください。