アテネ空港は、搭乗客で溢れかえっていました。その人の多さときたら、一目見て人員不足であることがわかり、チェックインの手続きは全く進んでおらず、客同士が順番争いをし始める始末。
しかも困ったことに、僕が乗るはずのバンコク行きの飛行機の表示がどこにもない!
さらに尋ねようにも、空港スタッフがいない!
僕はそこらじゅうを駆けずり回り、やっとスタッフらしき男を見つけました。彼が言うには、「ドバイ行きに乗るんだ。それがバンコクへ行くから」とのこと。もはや彼の言葉を信じる以外に、この状況を脱することはできません。僕は、ドバイ行きの搭乗手続きに並びました。
列に並んで周囲を見回すと、辺りはアラブ人だらけ。
おまけに、多くの人が異様な量のダンボール箱を抱えている様子。
どうもアラブの人々にとって、アテネは買い出し先のようですね。どうせヨーロッパで買い物するなら、ローマとかに行けばいいのに……と日本人の僕としては思いましたが、19年前のギリシャは今と違って、豊かな国だったのでしょう。
さて、「落ちるんじゃないか……」と心配になるほどの荷物と人を乗せて、飛行機はアテネを飛び立ちました。不安を感じつつも4時間のフライトはあっという間に過ぎ去り、ドバイ空港に着いたのは夜中でした。
飛行機から地上に降りた途端、まず感じたのは……とんでもない暑さ。
さすがはアラビア半島ですね……夜にも関わらず、むちゃくちゃ暑い!
乗り換えまでの2時間ほど、僕はドバイ空港をうろつくことにしました。
で、ここでも奇妙な光景に遭遇。
――なんと、免税店で「フェラーリ」が売られてるんです!
さすがはオイルマネーの国。買うヤツ、おるんかな? 買ったら、免税効くんかな? 日本まで飛行機で届けてくれるんかな? ……などと、疑問は増えるばかり。でも、肝心のお値段を確認するのは忘れました(笑)
暇つぶしを終えて、バンコク行きの飛行機のゲートへ行くと、搭乗客は5人だけ。その数なんと、客室乗務員のほうが多いくらいでした。……なんとなく、得した気分?
ここまで、イスタンブールからバンコクへ向かうまでにずいぶん寄り道したけれど、それはそれでオモロイ時間でした。不思議な光景ばかり目についたのは、まだまだ知らないことがたくさんある証拠。この時間も、きっとかけがえのないものになることでしょう。
僕は幸せな気持ちで飛行機のシートに横たわりました。
もう貸切状態ですもん。爆睡しつつ、いよいよバンコクへと向かったのでした。