日本全国津々浦々、うまいもんを紹介する日本FOOD紀。
今回訪れたのは、愛知県です。
愛知県と言えば……味噌煮込みうどん! 他にも味噌カツや味噌サンドなど、愛知県=味噌というイメージもありますね。
そんな愛知県の特産品かつ、日本を代表する発酵食品をご存知ですか?
――そう、みんな大好き味噌煮込みうどんにも使われている、「八丁味噌」です。
お土産品としても人気の高い八丁味噌ですが、愛知県内のスーパーでは普通に販売されている商品です。市民の生活にも馴染んでいて、価格も500gで400円~500円前後の商品が多いようですね。ちょっぴり良いお値段の味噌、といった感覚でしょうか。
ところで、どうして“八丁”なのか、気になったことってありませんか?
僕は意外と名前の由来が気になるタイプなので、その点もあわせてご紹介します。
「八丁」という名前の土地で作られた味噌=八丁味噌
八丁味噌の主な産地は、愛知県岡崎市八帖。
この地には以前、「八丁村」という村がありました。
――そうなんです、八丁村で作られていた味噌だから「八丁味噌」なんですね。
岡崎城からほど近いこの地域では、今も八丁味噌を作っている味噌蔵があるんですよ。
その原料は、基本的に大豆と塩と麹のみ。日本を代表する「味噌」は、大きく分けて米味噌・麦味噌・豆味噌の3種類に分けられますが、八丁味噌は豆味噌を代表する味噌としても有名です。
大豆に麹を加えて大豆麹を作り、長い期間をかけて発酵・熟成を重ねます。さらに、八丁味噌作りにおいては、大豆は蒸して作る製法が一般的。なので、いわゆる市販の味噌と比べて八丁味噌には、特有の酸味や濃厚な風味を感じることができるわけです。
戦国時代から愛用されてきた携帯食
八丁味噌の歴史は古く、戦国時代にはすでに兵糧として重宝されていたそうです。この点に関しては、八丁村が徳川家康の生まれた岡崎城の近くにあったという、立地の良さも一役買っていたと言えるでしょう。
また、東海道沿線にも味噌蔵が2軒あり、携帯食としても長年にわたり利用されていました。
事実、第二次世界大戦前には、当時の海軍の潜水艦に積まれていたそうです。戦後も、南極へ向かう隊員たちの携行食として採用されています。
水をあまり使わずに熟成させた八丁味噌は、保存料や添加物をほとんど使わなくても長期間保存できるという優れもの。上手に保存すると、より熟成が進んで味に深みが出るという不思議な味噌です。
普通の味噌であれば、「熱に弱く、煮込むと風味が飛んでしまう」という欠点がありますよね。ですが、八丁味噌は熟成を重ねているので、熱に強いという特性があります。
そう考えると、名古屋方面では定番かつ人気の「味噌煮込みうどん」が定着しているのも納得です。味噌煮込みうどんはその名のとおり「煮込んで仕上げるうどん」ですから、熱に強い八丁味噌との相性が良いというわけですね。
アンチエイジングアイテムとしても再注目
この八丁味噌ですが、実は最近、いわゆる「美魔女」世代から再注目を集めている食品でもあります。
その理由は、八丁味噌がもつ酵素パワー!
そもそも味噌自体に酵素が多く含まれており、最近は味噌汁を毎食のように飲む人も増えてきています。一時期は手間隙かかる味噌汁は敬遠されていましたが、味噌の中には消化酵素だけでなく、褐色酵素やそのほかの栄養素もふんだんに含まれています。
そういった魅力もあり、アンチエイジング対策に力を入れている美魔女世代から八丁味噌が注目されているんです。市販されている味噌と比べて、味噌特有の「塩っけ」が少ないのも良いですね。
おいしく食べて、アンチエイジング!
八丁味噌はお土産品としてはもちろん、全国のスーパーでも販売されていますから、見かけたときにはぜひ食べてみてくださいね。