地方調味料”偏愛”ライターの杉山きこりです。
今日は”地方調味料の基礎” とも言うべき、醤油について。地方・地域ごとに料理の味付けや風味が異なりますが、一番ベースにある醤油の存在がとても大きいと思います。私は関西出身なので実家では濃口と薄口(淡口)の2本は必ずありましたし、愛知では白醤油と溜まり醤油、九州では甘めの醤油が主流…など存在する醤油の種類自体も地方によって異なるのです。

地方スーパーなどに行くと、自分が今まで見たことのないような地元メーカーやラベルのお醤油がたくさんあるので、ついテンションが上がってしまいますが……。どうしても旅先では重くかさばるので、リピートしたいものはお取り寄せするようになりました。

 

なぜ奈良県・吉野の醤油なのか

醤油の有名どころ、と言いますと千葉や龍野、小豆島、金沢……といった醤油メーカーのある町を想像するかもしれませんが、私の中で最もリピートしているのが、桜で有名な奈良県・吉野の醤油たち。と言うのも吉野は私の父の故郷で、全国的にはあまり知られていないかもしれませんが、美味しい醤油の蔵がいくつかあるのです。

歴史的なことから紐解きますと、その昔、日本の伝統的な発酵食品である醤油は、味噌と同じように各家庭で作られていたそうです。江戸時代後期には村ごとに醤油の蔵が登場し、大正〜昭和初期の全盛期には全国で1万軒ほどあったとか! 現在では日本各地で1500軒にまで減少(奈良県内にいたっては、かつては100軒あったそうですが、現在では20軒ほどに)。それでも山に囲まれた吉野の美味しい水と、寒暖差の激しい気候を活かし、昔ながらの製法を守って作られている小さな蔵元があるなら、何としてでも応援して守っていただかなければならない! とエールの意味を込めてリピートしています。

私自身、吉野に住んだことはありませんが、母が使っていたのも吉野の醤油。その慣れ親しんだ味はやっぱり忘れられず。「なかなか味が決まらないなぁ」と思ったときは、やっぱり醤油が違っているとき。皆さんもそういう味の記憶ってありませんか?

前置きが長くなりましたが、今日はお気に入りの4つのお醤油をご紹介したいと思います。

 

お刺身や冷奴はじめオールマイティに…宮滝しょうゆ。焼肉や鍋物には…宮滝ぽん酢しょうゆ

100年前から吉野の宮滝で醤油づくりを始め現在4代目。代々受け継がれてきた吉野杉大桶を22本使い、職人さんたちが1年間かけて醸造。手作業でゆっくり作るので量産はできないそうですが、それでも年間で一升瓶25,000本分を生産しているそうです。
定番の「宮滝しょうゆ」はオールマイティに使えますが、最近は「マツコの知らない世界」や日経新聞で紹介され人気が全国区になった「ポン酢しょうゆ」がおすすめ。映画『殯(もがり)の森』(07)や『Vision』(18)で知られる奈良県在住の河瀬直美監督もこちらの大ファンだそうです。天然の柚子を贅沢に使った上品な味わいで、一滴たらすと柚子の香りがふわり。だしと酢と柚子のバランスもよく、辛すぎず、そのまま飲んでしまいたいぐらい。我が家では冬のお鍋はもちろん、焼肉の時や餃子にもサラダにもなんでもかけています。今回のオーダーで薄口も初めて買ってみたので、こちらも使うのが楽しみです。
蔵元に行けば、蔵の見学もでき、さらに醤油やポン酢の試飲もできるそうなので、今度帰省した際には一度立ち寄ってみたいなぁと思いました。

梅谷醸造元 http://www.umetani.jp
宮滝しょうゆ 天然醸造 濃口 500ml 451円(税込)
宮滝しょうゆ 淡口 1Lペットボトル 494円(税込)
宮滝 ぽん酢しょうゆ 600ml 1,026円(税込)

 

煮炊きもの、すき焼きには…松六醤油

こちらは創業天保13年。吉野拾遺という葛湯で有名な松屋本店で、吉野に2店舗、東京とで合計3店舗構える老舗。今では葛湯や葛菓子がメインとなっていますが、元々は醤油や味噌の製造販売からスタートしたとか。
こちらの松六醤油は一升瓶のみの一種類。塩分控えめで、少し甘め。しっかりとした味わいなので煮物やすき焼き、あと焼き豚などを作る時にはコクが全く違います。何せ濃厚なので、他のレシピを見て作るときは必ず量を減らしてから使用しています。

松屋本店 https://www.yoshinoshui.com/
松六醤油 濃口 1,800ml×2本  1,710円(税込)

 

うどんだし、そうめんつゆには…吉野だし味

だし醤油で美味しいのは森谷醸造場の吉野だし味。大正初期の操業で、現在4代目のご主人が切り盛りされています。塩気がしっかりと効いただし醤油で、うどんやそうめんつゆにぴったりなのです。この前、タケノコご飯を炊く際にこちらを使いましたが、美味しかったですね! 一番手軽で美味しいのは、TKG(卵かけごはん)なので、こちらもぜひおススメしたいです。

こちらは残念ながらホームページなどお持ちでないので、直接お電話でお問い合わせください。地方発送もしていただけますよ!

森谷醸造場 (0746)36-6046
吉野だし味 500ml 520円

 

まとめ

吉野の醤油4選、いかがでしたか? ネットでの情報もまだまだ少ないレアなお店も多く、今回のセレクトもなかなかの偏愛っぷりを発揮していましたが……(苦笑)。
知られていない地方の美味しい調味料は、まだまだたくさんあります。これからも発掘しつつ、ご紹介させていただきますね。

取材・文/杉山きこり

Writer:杉山きこり
女性誌、地方旅行ガイド本などで活動する編集ライター。仕事やプライベートで地方に行くと必ず道の駅や地元スーパーに立ち寄り、各地の思い出とともに調味料をお持ち帰り。お取り寄せもするが、できるだけ現地に出向いて偶然の出会いを楽しみたい…!そんな地方調味料の楽しみ方を、皆さんにもご紹介させていただきます。

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