地方調味料”偏愛”ライターの杉山きこりです。
今回は醤油と麹を混ぜるだけの自家製調味料をご紹介します。
ここ数年で、「塩麹」は当たり前にスーパーで買えるほど市民権を得た調味料になりました。特によく料理をする人は、一度は鶏肉を揉み込んだ経験があるかと思います。麹はその後も注目され続け、醤油麹、だし麹に味噌麹……と種類を増やしました。どれも漬けたり和えたりするだけで、素材そのものの旨みや食感がアップする万能調味料。ただでさえ我が家の冷蔵庫は瓶もので溢れているのですが……、調味料好きとしては、素材をさらに昇華させるのも楽しみのひとつ。さらなる食の楽しみのため、醤油麹&だし麹を作ってみたいと思います。
麹って何?どうして注目されているの?
麹とは米や麦、豆などの原材料を発酵させる微生物のひとつ。日本で昔から食されている醤油や味噌、納豆や漬物などは、すべてこの麹によって作られる発酵食品です。この麹菌によって、和食の特徴でもある旨味と甘味を作っているのです。また、微生物の働きによって腸内環境を整える作用があることから、健康のために改めて注目されています。
ちなみに、この麹の元になる麹菌は日本の湿気のある気候を好み、日本で育ちやすい穀物との相性が良いため「国菌」と言われているそうです! 世界的に見ても、貴重な存在なのですね。
生麹と乾燥麹、調味料作りにはどっちがいい?
まずは麹を手に入れなくてはなりません。最近ではスーパーなどでも乾燥麹は見かけますし、ネットで生麹を購入することもできます。私はカネサオーガニック味噌工房で有機生糀を買いました。
生麹にした理由は、水に戻すことなくそのまま使え、デンプンを等などに換える力(=力価)が強いから。乾燥麹は生麹に比べるとその力価は劣りますが、常温で何ヶ月も保存がきくメリットもあります。
あとは使う量の問題。使いきれないぐらい残ってしまっては保存がきく乾燥麹の方が良いかもしれませんが、今回は2種類作りたかったので300gぐらいは使い切れると想定しました。
もし残ってしまった場合も、お店の方曰く、残った生麹をそのまま納豆に混ぜ、少し発酵させると、またさらに美味しくなるそう! これも後日試してみたいと思います。
ただただ、混ぜるだけの醤油麹
必要なのは同量の醤油と麹、あとは密閉できる保存容器とスプーンのみ。そして作る……、というか混ぜるだけでできてしまいます。
<材料>
米麹150g、醤油150cc
<作り方>
①醤油150cc米麹150gを混ぜ合わせます。
②常温で1週間保存し、その間、1日1回麹に空気をくりこんで発酵を全体に行き渡らせます。もし醤油が浸っていなかったら足しましょう。
トロッととろみが出て米麹の粒が柔らかくなり、麹の香りがしたらできあがり。冷蔵庫に保管して3ヶ月ほどは日持ちするとか。これはカンタンすぎました!鳥もも肉を漬け込むもよし、豚の生姜焼きにするもよし、納豆に混ぜるだけもよし…色々これから試してみたいと思います。
すってつぶして、混ぜるだけのだし麹
だし麹とは米麹と醤油、みそ、お酒などにすりごまをたっぷり入れた香ばしい万能ソースです。素材のうまみを引き出す醤油麹と比べて、よりソース感が増した印象です。
<材料>
米麹120g、炒りごま60g、醤油300cc、酒25cc、みそ25cc
*使う調味料などにもよっても若干変わりますし、レシピは色々ありますのでご参考に。
<作り方>
①米麹をすり鉢で粒の半分ぐらいになるまで砕きます。(フードプロセッサーで潰しても)ここで粒を滑らかにするのが美味しさの秘訣!
②ゴマもすりつぶして香りを立てます。しっとり湿った状態になればOK。
③みそを木べらなどにつけて、火で炙ります。(ここは風味を出すためなので省略しても可)
④醤油と酒を火にかけてアルコール分を飛ばします。
⑤すりゴマの入ったすり鉢に麹、みそを加え、少しずつ④を入れ、よくすり混ぜ合わせ、保存容器に移し替えます。
⑥後は二日間常温で保存して完成(その間も一日1回は混ぜ合わせます)
醤油麹に比べれば少し擦る手間ありましたが、それにしても10分もあれば出来上がります。キッチンで米麹をすり鉢でゴリゴリしていると、「いい匂い〜!」と子どもたちが寄ってきました。そのぐらい米麹の香りって魅力的で食欲をそそるのですね。
まとめ
こんなに簡単ならもっと早くから作ってみればよかった……! と思うぐらい、すぐできてしまいました。いろいろと料理のレパートリーも増えそうで、今日は何を漬け込もう、今日は何と和えよう…と考えるのが楽しみになりました。この自家製調味料を使った実際のお料理はまた別の機会にご紹介しますね。
こうして始まったわが家の発酵生活ですが、もう一つ始めたことがあります。麹菌のように発酵から得られる酵素を手軽に摂れる「なかきれい酵素」も飲み始めました。味噌作りから発想を得ているそうで、酵素の活性化を最大限に高めたカプセルです。こちらもまた追ってレポートしますね!
取材・文/杉山きこり
Writer:杉山きこり
女性誌、地方旅行ガイド本などで活動する編集ライター。仕事やプライベートで地方に行くと必ず道の駅や地元スーパーに立ち寄り、各地の思い出とともに調味料をお持ち帰り。お取り寄せもするが、できるだけ現地に出向いて偶然の出会いを楽しみたい…!そんな地方調味料の楽しみ方を、皆さんにもご紹介させていただきます。