いよいよ夏本番。
プールに海水浴、花火大会やバーベキューと暑い中でも屋外イベントが盛りだくさんの季節、みなさまはどんな過ごし方をしますか?
ご存じのとおり、夏は熱中症のリスクが非常に高くなる時期です。
熱中症=水分不足。こまめに水分補給をすれば問題ない、と思っている方も多いようですが、実は、それは大きな間違い。
熱中症は水分だけではなく、他の栄養素とも深い関わりがあります。
また、夏は基礎代謝が上がる一方、夏バテ等で食欲が低下し、栄養不足になりがちな季節です。
今回は夏を乗り切るために重要な栄養素や、管理栄養士が厳選したおすすめのレシピをご紹介します。
ポイントを押さえて、夏バテ知らずで季節のレジャーを楽しめる体をつくりましょう!
そもそも夏バテとは?
夏バテは、暑さによる倦怠感や食欲不振などの症状の総称です。
夏バテの原因のひとつが、栄養バランスの偏りです。
水分補給と甘いジュースをたくさん飲んだり、食事をせずアイスやゼリーで済ませたり。
また、冷やし中華やそうめんなど、喉越しの良い麺類ばかり食べていたりしませんか?
このような食生活が栄養バランスを崩し、夏バテを引き起こす要因となっているのです。
夏こそ栄養のあるものを食べなければいけない季節です。しかし、食欲もなく、なかなか喉を通らない日もありますよね。
これから夏の時期、特に必要な栄養素と、その栄養素を多く含む食材やレシピをご紹介します。
食べられるものから無理なく栄養補給をしてくださいね。
熱中症予防!水分と一緒に摂るべき栄養素
汗をかくと、水分と一緒に塩分などのミネラルも排出されます。
そのため、熱中症予防として水だけを摂取していると、血液中のナトリウム濃度が薄くなりすぎることにより「低ナトリウム血症」を起こしやすくなります。
低ナトリウム血症はだるさや吐き気を感じ、重度の場合呼吸困難や意識障害に陥ることもある、危険な症状です。
こういった症状に陥らないために、水分と一緒に摂るべき栄養素をご紹介いたします。
ナトリウム
熱中症予防に、水ではなく薄めのスポーツドリンクなどが良い、と聞きますよね。
その理由は、スポーツドリンクにはミネラルなどが含まれており、汗により失われる栄養素も補うことができるからです。
炎天下での1時間の運動で、水分は600ml、塩分は約2gも失われると言われています。
スポーツドリンクや経口補水液、塩飴などで塩分補給をしましょう。
ただし取り過ぎると高血圧や脳卒中のリスクも高まるため、注意をしましょう。
カリウム
ナトリウムと並び、カリウムも熱中症と深く関わりのある栄養素です。
カリウムは体に含まれている余分な塩分を体の外に排出する働きがあります。
通常の食事をしていれば特に不足することのない栄養素ですが、汗を多くかくと、カリウムも汗と一緒に排出されてしまい、熱中症や夏バテの原因となります。
1日のカリウム摂取目標量は、男性3000mg、女性2600mgです。
たくさん取り過ぎても、余分なカリウムは体外に排出されます。
過剰摂取による問題は特にないので、安心してくださいね。
では、カリウムはどんな食品に含まれているのでしょうか。
カリウムは主に野菜や果物に多く含まれています。
カリウムを多く含む食品
バナナ 1本:360mg
アボカド 半分:360mg
かぼちゃ 60g:290mg
小松菜 60g:85mg
バナナなどの果物は、調理せずそのまま食べることができるので、手軽にカリウムが補給できおすすめです。
ここまで、熱中症と深く関わりのある栄養素についてご紹介してきましたが、実はまだまだ重要な栄養素があります。
その栄養素を多く含む食材や、おすすめのレシピも併せてご紹介しますので、是非意識して食卓に取り入れてみてください。
タンパク質
冒頭でもお話ししたように、夏は基礎代謝が高まり、他の季節より多くのタンパク質を消費します。
消費量が増えても、摂取量が変わらなければすぐに体内のたんぱく質が不足してしまうため、夏は特に意識してタンパク質を摂取しましょう。
タンパク質を多く含む食品
肉、魚、大豆、卵、乳製品
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質からのエネルギー代謝に欠かせない栄養素です。
不足すると糖質がうまくエネルギーに変換されず、食欲不振や疲れ、だるさなど夏バテのような症状が現れます。
ビタミンB1は水溶性ビタミンなので、熱に弱く、水に溶ける性質があります。
加熱する場合は加熱しすぎず、茹でずに電子レンジを使用するなど、工夫が必要です。
ビタミンB1を多く含む食品
豚肉、レバー、豆類、うなぎ、たらこ、玄米
夏を乗り切るおすすめレシピ
ここまでご紹介した栄養素を取り入れた、おすすめレシピをご紹介します。
簡単に作れますので、料理は苦手、なんて人も気軽にチャレンジできますよ!
・かぼちゃとバナナのパンケーキ
材料(1人前)
かぼちゃ 150g
バナナ 1本
はちみつ 大さじ1
小麦粉 大さじ1
卵 1個
サラダ油 少々
作り方
① かぼちゃは電子レンジで2分加熱し、フォークでつぶす
② バナナは熟したものを選び、①と一緒につぶす
③ 小麦粉、卵、はちみつを入れ、混ぜ合わせる
④ 熱したフライパンに薄くサラダ油をひき、③を落とし両面焼いて完成
ポイント
カリウムの多いかぼちゃとバナナを使用したパンケーキは、ごはんにもおやつにもぴったり。
カラメルバナナやホイップクリーム、アイスを添えてもおすすめです。
かぼちゃの皮には食物繊維など、栄養がたっぷり含まれているので、一緒に粗くつぶしましょう。
・鰹の香味野菜漬け丼
材料(1人前)
かつお 100g
玉葱 小1/2
大葉 2枚
生姜(すりおろし) 小さじ1
醤油 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
砂糖 大さじ1
いりごま お好みで
胡麻油 小さじ1
ご飯 1膳
七味 お好みで
作り方
① 玉葱は薄くスライスし、大葉は千切りにする
② 醤油、酒、みりん、砂糖、いりごま、胡麻油を混ぜ合わせ、鰹の切り身、大葉、水気を切った玉葱を入れ、1時間以上漬ける
③ 炊いたご飯の上に乗せ、お好みで七味をかけて完成
エネルギー:572kcal 食塩相当量:2.1g
ポイント
鰹はタンパク質だけではなくビタミンB1も豊富です。玉葱や大葉、生姜などの香味野菜の他、胡麻油の香りと七味がアクセントとなり、夏でも食べやすい丼ものに。
ご飯を酢飯にしてもさっぱりと食べることができます。
また、玉葱の辛み成分、「アリシン」はビタミンB1の吸収率を高める働きがあり、一緒に食べることで効果が期待できます。
アリシンは水溶性で、玉葱を水にさらすことで溶けて流失してしまいますので、注意してください。
まとめ
熱中症は梅雨明けの急激に気温が上がる頃から、9月中旬まで多く見られます。
季節の変わり目は特に気温の変化にうまくついていけず、体調を崩すことも多いため注意していきましょう。
消化がよくない……。そんなときは「なかきれい酵素」のような酵素サプリメントも併用して、お腹のなかをスッキリさせていきたいですね。
楽しいイベントが盛りだくさんの夏。
普段の生活を振り返り、栄養補給はもちろん、休息もしっかり取って、万全な体調で夏を満喫していきましょうね!
writer:矢崎海里
大学を卒業後、大手企業の栄養管理業務を行いながら勉強をし、管理栄養士国家試験に既卒で合格。
現在は管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。
レシピ考案が好きで、一度作ったものは作らず、常に新しいメニューを自炊し楽しんでいる。
趣味は旅行で、20代のうちに47都道府県行くことが目標。