地方調味料”偏愛”ライターの杉山きこりです。
秋の夜長を楽しんでいらっしゃいますか?
私は、またまた地方の調味料を開拓したり手作りに挑戦したり…相変わらずの偏愛っぷり。冷蔵庫が常に瓶詰めで溢れています。
今日はこれから寒い時期、恋しくなるお鍋のお供に欠かせない柚子胡椒、ならぬ “すだち胡椒”を作ってみたいと思います。というのも、徳島よりすだちがたくさん届きまして、調べてみると柚子だけでなくすだちやかぼすなど、柑橘類であれば〇〇胡椒(=胡椒系と呼ばせていただきます)をいろいろ作ることができるのだとか。今から仕込めば、しっかり熟成されたすだち胡椒が冬に楽しめるとあって、早速作ってみました。
柚子胡椒について、改めておさらい
柚子胡椒の胡椒は、いわゆる「コショウ」ではなく「唐辛子」のこと。九州発祥の調味料です。ちなみに九州では「ゆずごしょう」と読むそうです。九州各地で発祥地とする諸説が残っていますが、大分県日田市は柚子の名産地でもあり、古くから農家さんの家庭では柚子胡椒が作られていたそうです。
材料はいたってシンプル。青柚子の皮と青唐辛子と塩のみ。それぞれすりおろし、刻んで塩と混ぜて漬け込むだけでOK。あとは熟成するのを待つのみです。青柚子の旬は7〜10月、青唐辛子の旬は7〜9月ですので、いま手作りしておけば鍋の季節がより楽しみになる、という訳ですね。
この連載の中で何度も「コショウ=唐辛子」というお話は出てきているので、もうご存知ですね。
妙高の“からみそ”(http://www.hama-tsushin.com/5653)に始まり、青森の“一升漬け”(http://www.hama-tsushin.com/5944)、福岡の”ユズスコ”(http://www.hama-tsushin.com/5988)と…私の連載には唐辛子がよく登場しています(笑)。
すだちにかぼす、レモンまで…“胡椒系”がきてる!?
そして今回挑戦する“すだち胡椒”について。みなさんすだち胡椒の存在をご存知でしたか? すだちの生産量日本一の徳島では「鬼うますだち胡椒」として販売されているのです。他にも大分では「かぼす胡椒」や広島では「発酵レモン胡椒」なるものまで、各地方ではどんどん胡椒系が登場していますよ! こうなるとまた胡椒系ばかり集めて、ペアリングや食べ比べをしたくなりますね。
ちなみに…前回のスコ系調味料と比べてみましょう。前回ご紹介したユズスコは柚子胡椒を液体にし、使い方の幅がぐんと広がりました。この時もレモスコやカボスコなどもありましたので、胡椒系はスコ系に昇華しやすいのです。まぁどちらもピリ辛調味料ですので。ですので、夏場は液状のスコ系、冬場はペースト状の胡椒系…と使い分けるのが良いですね!
こんなことを発見してしまうと、また冷蔵庫の占有面積が心配でなりません…(苦笑)
基本のすだち胡椒の作り方
<材料>
すだちの皮…75g(約10個分)、青唐辛子(ヘタと種を除く)…75g
塩…15g(すだちの皮と青唐辛子を合わせた10~20%)
<作り方>
1. すたちと青唐辛子をよく洗い、水気を拭き取る。すだちの表皮を薄く削いでみじん切りに、フードプロセッサーで細かくしてもOK。皮の白いワタの部分は苦味が出るので、できるだけ表皮だけ削いで。
*なめらかに仕上げたければ、おろし器でおろしてもOK。刻むより香りが強くな理、口当たりも滑らかになりますが、結構な量をすらなければならないので私はフードプロセッサーで作りました。
2. 青唐辛子のへたをとり、縦に半分に切って種を取り除き、こちらもみじん切りかフードプロセッサーで細かくする。
*青唐辛子は刺激が強いので、素手で触るとピリピリし刺激が残りますので、ビニール手袋は必須です!本当に痛いので要注意!目もヒリヒリとしみる時もありますので、その場合はメガネの着用や部屋の風通しをよくすることをおすすめします。
3. すり鉢に刻んだ皮と唐辛子と塩を入れてすり混ぜる。(大きなすり鉢がない場合は、保存袋に入れてよく揉みこむ。)全体に塩が馴染んだら、煮沸消毒した保存容器に入れて完成!
すぐにも食べられますが、1週間ほど冷蔵庫で寝かせるのがおすすめ。ピリピリとした辛さがまろやかになり、皮の青臭さも消え深みのある苦味に。冷蔵庫で1年保存可能です。また、あくまでこれは基本の作り方。塩加減もお好みで調節可能ですし、果汁を入れる方もいらっしゃいます。何年も作り続けて、ご家庭の味を見つけ出すのも◎。時間が立つほどどんどん熟成するので、味の変化もゆっくり楽しめます。今回はすだちで作りましたが、ゆずもかぼすも作り方は同じですので、お好みの柑橘系でお試しください。
まとめ

家庭で作る最大の魅力は、それぞれの好みに合わせられること。食感を残したい場合は荒く刻めば良いですし、滑らかにしたければすりおろせばOK。初挑戦でしたので、とりあえず手早く作りたくってフードプロセッサーで作ったので、少し粗めですが、これはこれで存在感が増して◎!
そして何よりも、出来上がったすだち胡椒のフレッシュなこと! 香りといい、風味といい、これは買ったものでは味わえないです! 一度作ると、毎年作りたくなる理由がわかりました。これから、味の変化をゆっくり楽しみつつ…本当にお鍋が待ち遠しくなりました。ぜひ、皆さんも試してみてくださいね。
次回は、今回使ったすだちの果汁の部分を使って、自家製ポン酢に挑戦してみたいと思います! こちらもお楽しみに。
「なかきれい酵素」も酵素の鮮度が命。朝がすっきり目覚められるのでお勧めですよ!
写真・文/杉山きこり
Writer:杉山きこり
女性誌、地方旅行ガイド本などで活動する編集ライター。仕事やプライベートで地方に行くと必ず道の駅や地元スーパーに立ち寄り、各地の思い出とともに調味料をお持ち帰り。お取り寄せもするが、できるだけ現地に出向いて偶然の出会いを楽しみたい…!そんな地方調味料の楽しみ方を、皆さんにもご紹介させていただきます。