「更年期」と言えば、女性に出る症状のほうが有名なのではないでしょうか。
当ブログでは、女性の更年期についてはもちろん、男性の症状についても過去にお伝えしてまいりました。――が、「どうして女性だけ……」と思ってしまう人は、やはり少なからずいるようです。
僕は男性ですが、女性の更年期を調べていく中で、男女の体が持つ役割や負担について考えさせられることが多くありました。
男性は女性が毎月のように苦しむ生理痛の痛みもわかりませんし、一緒に子育てはできるものの、「妊娠と出産」は女性の皆さんにしか経験できないことです。
ああ、生命の不思議。
とはいえ、女性からすれば、「どうして女性だけ更年期の症状が目立つんだろう」なんて不思議に思うこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、なぜ女性に更年期が存在するのかを調べてみました。
謎を解くためのキーワードは、「女性ホルモン」と「自律神経」です!
「女性ホルモンの減少」が合図
なぜ、女性には更年期が存在するのか。
この難問に対してもっともわかりやすく明確な答えとして、「女性ホルモンの減少」があります。
それでは、一人の女性の一生を追ってみましょう。
まずはこの世に生を受け、両親や周囲から愛情を注がれて成長した少女は、10代になると初潮を迎えます。――そう、これが、女性ホルモンの分泌が活発になるスタートの合図です。
初潮を迎えた少女の体は、徐々に成人女性の体型へと近づいていきます。そして適度に脂肪分を含み柔らかい曲線を持つ体へと変化を遂げ、20代を迎えると、立派な成人女性へと成長するのです。
女性ホルモンの分泌量も順調に増え、体の中――つまり子宮や卵巣は、いつでも妊娠可能な状態へと変わっています。その後、結婚・妊娠・出産を経験し、かつては乙女だった少女もいまでは立派な母親に。
女性ホルモンの分泌のピークは、30歳ごろと言われています。30歳から40歳へと年齢を重ねるにつれ、自然と女性ホルモンの分泌量が減っていき、40歳を超えたあたりからは急減。
――そう、この「女性ホルモンの急激な減少」こそ、成人女性が閉経を迎えるための準備期間に入る合図なのです。
自律神経の乱れる原因が判明している
女性は初潮を迎えると、女性ホルモンの分泌量が増えます。これは、いつ子供を妊娠しても大丈夫なように、女性ホルモンを分泌する命令が脳から伝達されたことによるものです。
しかし、閉経を迎える準備、つまり「もう妊娠できなくなりますよ」と脳から伝達されるようになると、女性ホルモンの分泌量は急激に減少します。すると、脳や体の一部では、これまで血中に運んでいた女性ホルモンの量が不足し、パニックを起こします。
これが、自律神経の乱れへとつながる原因になるのです。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量が少ない状態でも、次第に体が安定していくと、自律神経の乱れは徐々に落ち着きを見せます。
つまり、女性ホルモンが大量に分泌されていた時期から急激に減少していく過程において、自律神経が「どうして女性ホルモンの分泌が減ったのか」がわからないまま体や心にさまざま反応を出してしまい、女性特有の更年期症状を引き起こすのです。
特に「ホットショック」と呼ばれる、顔はほてって暑いのに、手足が凍えるように寒い症状は、女性に振りかかる更年期の代表的な症例です。
しかしながら、女性が更年期の世代に差し掛かっても、全員が更年期の症状を発症するわけではありません。その理由のひとつが、この「自律神経の乱れ」です。
女性ホルモンの分泌が急激に減少しても、中には体への影響が少ない人もいますし、自覚症状が出ないまま更年期を終える女性もいるのです。
過去の記事では、男女別の代表的な更年期の症状も紹介しています。気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
「更年期」は女性サイクルのひとつと心得よ
最初にお伝えしたとおり、女性の一生はなかなかのハードモードです。
10歳前後で初潮を向かえ、その後40歳ごろまで順調な月経が続き、45歳でゆるやかに閉経を迎えたとします。
すると、なんと25年間も、月に一度は月経と付き合っていかなくてはならないのです。
この月経サイクルだけは、人間の体でも、成人女性だけに特有のものですね。男性も、男性ホルモンが分泌されることで精子が製造されますが、女性のような定期的なサイクルは持っていません。
しかも、女性の皆さんは月経が始まると、子宮の収縮と共に不要となった経血を体外に排出するため、「生理痛」という形で痛みも伴います。
男性の僕が言うのもおこがましい話ですが、常にこれらの月経サイクルと付き合っている女性の皆さんには、本当に頭が下がりっぱなしです。
月経を終える準備、つまり「体が妊娠できなくなるように」と準備をする期間こそが、まさに更年期となるのです。更年期が原因で起きてしまう不快な症状は、そのほとんどにおいて、女性ホルモンの分泌が急激に減ったことによる自律神経の乱れが関係しています。
更年期は、女性が一生の生活を送るうえで、大切な生活サイクルのひとつです。
更年期を迎える世代の女性は、自分の親のこと、夫のこと、子供のこと、そして仕事や子育てについてなど、さまざまな問題を抱えている世代とも一致します。
「あれ? 体の様子が少しおかしいかも……」と自覚症状がある日には、温かいドリンクを片手にゆっくり過ごしてみてください。自律神経を整えて心と体を少し休めてみると、体に現れる不快な症状が和らぐこともありますよ。