イスファハンでは、日本人のオモロイ兄ちゃんと知り合いました。
聞いてみると、ジュネーブの大学で教えていて、夏休みで帰省する道中なのだとか。なんでもジュネーブから上海までは陸路で帰るべく、その旅の途中だという話でした。兄ちゃん……日本に着く頃には、夏休みが終わってまうで(笑)
長旅の中では、彼のようなユニークな日本人に会うのも楽しみのひとつです。 僕は兄ちゃんと川沿いのカフェへ行き、美味しい紅茶を飲み、水タバコを吸いました。
水タバコは火にかけた細長いポットから管が出ていて、吸うとクラクラしました。僕は日本にいた頃からタバコを吸っていましたが、水タバコは想像以上に強烈でびっくり。半日もの間、カフェでプカプカと吸っていたら、帰りはフラフラになっていました。
しかし、イラン人のおっちゃんたちは一日中、平気で水タバコを吸っています。慣れると平気になるのかと思い、僕と兄ちゃんは毎日カフェへ通いました。……が、結局はいつも、帰りはフラフラ。おまけに兄ちゃんは僕と遊んだせいで、帰省がさらに遅れました(笑)
……あの兄ちゃん、元気にしてるかなぁ?
タバコは旅先でもずっと吸っていました。タイでは日本のマイルドセブン。インドのタバコは葉を巻いただけの恐ろしく体調を悪くするもので、さすがの僕も吸うのをやめたくらい。パキスタンではマルボロ。しかしアンチアメリカのイランにマルボロはなく、水タバコに挑戦した次第です。
ね? タバコひとつとっても、お国柄が出るでしょう!
――さて、残りの日数も少なくなった頃。 僕はトルコを目指して、国境近くのタブリーズへ行くことにしました。
イスファハンからタブリーズまでは、夜行バスで14時間。車内では脱水症状を予防するために冷やした水が回ってきますが、ペットボトルを回し飲みです。日本を離れると、そのくらいは当たり前になってきます。
旅の上級者は入国したらまず現地の水を飲み、下痢をして免疫をつけるそうです。僕にはそんな勇気はなかったけれど、どんな環境でも逞しく生きていた人々への敬意は、今も変わらずに持っています。