「今さらだけど、人には聞けないことがあるんです……」
職業柄なのか、性別や世代を問わず、多くの人と接する機会がある僕。時事ネタや健康理論など会話が盛り上がることも多くありまして、それはとても楽しい時間となるんですよ。
ですが、時には、真剣な顔をして僕に質問を投げかけてくる人もいるんです。
「今さらだけど、ちょっと他の人には聞けないことがあるんです……」
「濱本さん、教えていただいてもいいですか?」
こんな切り出し方をされれば、深刻な悩みかもしれないとさすがに身構えます。
「今さらですけど……『鉄分』と『ミネラル』の違いがわからないんです!」
次の瞬間、心の中で「ずこーーー!!」と大きな音を立てて椅子から転げ落ちる僕。
……ええ、イメージ的には『新婚さんいらっしゃい』でイスから転げ落ちる、桂文枝師匠バリの転げっぷりでした。でもたしかに、どんなブームでもそうですが、周囲がさも知っているかのように話していることを「知らない」と言い切るのは、少しだけ勇気が必要ですよね。
そこで今回は、改めておさらいをしましょう。「鉄分」そして「ミネラル」とは何なのか、この2つの成分を豊富に含む食材と合わせて、詳しくご紹介します。
What’s ミネラル? What’s 鉄分?
「ミネラル」は、実は「無機物」とも訳すことのできる言葉。
人間の体は、酵素65%、炭素18%、水素10%、窒素3%で構成されており、これらは「主要元素」と呼ばれています。そして問題の「鉄」は、主要元素には含まれません。この鉄が含まれるのが「無機物」の仲間です。
無機物=ミネラルの主要成分は、全部で26種類。“成分”というと堅苦しいので、頭の中ではアイドルグループをイメージしてください。主要メンバー26人を中心としたグループで、体内で大活躍のユニットです。このメンバーの1人が「鉄」なのです。
ですから、「ミネラル」がグループ名と思ってください。「ミネラル」という名のアイドルユニットが、26人+αで毎日活動を行い、人間の体が健康になるように維持してくれているんです。
――いかがでしょうか?
ミネラルや鉄について、少しでもイメージしやすくなれば幸いです。
ミネラルの補給=鉄分の補給なの?
先ほどの説明だけですと、「じゃあミネラルを補給するためには、鉄分を補給すればいいの?」と思われるかもしれません。これは、イエスでもありますが、ノーとも言えます。
「ええっ?!わけがわかんない!」とおっしゃる方もいると思います。――ええ、自覚があります。ですからもう少しだけ、ミネラルと鉄分の関係について説明します。まず、前述のように主要なミネラル成分は26種類ありますが、そのほかにもミネラルは存在します。
ところで、日常生活で食べるあらゆる食材は、そのひとつひとつが複数の栄養素を含んでいますよね。この「栄養素」の部分に注目してください。鉄が多いものもあれば、亜鉛を多く含むものもあります。ミネラルの中にはこのように、日常生活では「栄養素」でまとめられている成分も少なくないのです。
ですから、食べる食材によっては、「“ミネラル”全体としては補給できているけれど、“鉄分”の補給にはあまり効果が得られていない」というケースもあるということです。
野菜はミネラルの宝庫です。だからこそ、野菜不足は防ぎたい! 以下の記事では、野菜不足が招いてしまうこわーい症状について説明していますので、よかったら参考にしてみてください。
鉄分とミネラルを効率よく摂取できる食材は?
「鉄分=ほうれん草」というイメージを持っている人も少なくないと思うのですが、日本では特に、鉄分を摂りたかったらほうれん草を食べる人が多いようです。
でも、これは正解! 野菜のなかでもほうれん草は鉄分が多く、さらにその吸収を高めるためのビタミンCも豊富に含まれているんです。また、「濃い緑色の葉物野菜」は鉄分を多く含む野菜の特徴でもあります。なので、モロヘイヤや小松菜、パセリもおすすめですね。
とはいえ、毎日毎日、緑色の葉物野菜ばっかり食べていると嫌になっちゃいますよね(笑)
そこで、野菜だけでなく、肉類や魚類と組み合わせて食べるようにしてみましょう。肉類でしたら、意外なところでは豚肉や牛肉の赤味にも鉄分が多く含まれています。しかもこの赤味部分は、鉄分のなかでも吸収率の高いヘム鉄が多いのでおすすめです。
鉄分やミネラルの補給を名目に、たまにはちょっぴり高い赤味肉のステーキなども食べてみてはいかがでしょうか。付け合わせには、ほうれん草のソテーを添えましょう。マッシュポテトなどのイモ類にはパセリを添えて、パセリも一緒に食べちゃいます。効率よく鉄分・ミネラルを摂取できますよ!