「東と西の食文化は大きく違う」とは、よく耳にする話。
「北は北海道、南は九州・沖縄まで~」なんてキャッチコピーも多く使われていますが、本州を区分する際には「東西」で表現するのが常です。そして実際のところ、東と西では食文化と言いますか、「食の好み」が大きく異なる地域も多いんです。
そこで今回は、その“違い”がよくわかる代表例として、「鯖の味噌煮」についてピックアップ! 各地方で食べられている鯖の味噌煮について、あれこれご紹介しようと思います。
「鯖の味噌煮」はどこの郷土料理?
日本各地で作られ、時には缶詰などに加工され、日常的に目にする機会も多い「鯖の味噌煮」。ですが、よーく考えてみてください。日本各地で目にするけれど……そもそも鯖の味噌煮って、どこの郷土料理でしたっけ?
僕も気になってインターネットを使って調べてみたところ、九州の郷土料理だという説もあれば、東北の郷土料理だという話もありまして。まさに「諸説あります」状態を実感したわけです(苦笑)。
「これって、何かの食べ物に似ているな~」と感じたのですが、まさに同じく味噌料理である「味噌汁」と同じだと気がつきました。味噌汁と言えば、各家庭に味が異なる、“お袋の味”的なポジションにある食べ物ですよね。
広い意味での「料理」でしたら、基本的な作り方・レシピを本やインターネット上で知ることができます。でも、自分が子供のころから食べていた味とまったく同じ味のレシピはどこにも掲載されていないと、僕は常々感じています。
そんな味噌汁のように、鯖の味噌煮にも「各家庭の味」があるからこそ、特定の地域の郷土料理としてのポジションには収まらないのかな〜……と思いました。
栄養的には理にかなっている、鯖の味噌煮
日本各地で愛されている鯖の味噌煮ですが、実は栄養的な面でもかなり有能。というのも、鯖=青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)や IPA(イコサペンタエン酸)が豊富に含まれています。
「DHA」と言えば、数年前まではよく耳にしていた記憶のある人もいるのではないでしょうか。このDHA、一時期はサプリメント業界でも大流行した成分なんですよね(笑)。
そんなDHAやIPAが持つ働きとしては、コレステロールや中性脂肪を下げる効果が期待できます。さらに、これらが豊富に含まれた鯖を味噌で煮込むことで、味噌に含まれる大豆サポニンによる相乗効果も加わります。
簡単に言えば、「鯖+味噌=DHAやIPAの効果が増える!」という公式が成り立つわけです。“やっててよかった濱本式”のような解説ですが、青魚の調理に大豆製品を加えると栄養的なメリットも期待できるので、実に理にかなった料理だと言えるでしょう。
なぜ鯖の味噌煮は日本各地で味が違うのか
仕事柄、僕は全国各地へ出張する機会が割と豊富です。それ以前に、僕個人も旅行が好き。だから、日本全国さまざまな地方で「お、これはうまそうだな~」と思うと、ついつい手が伸びて注文してしまうんですよね。
そんな食いしん坊な僕だからこそ、素朴な疑問として感じていることがあります。
「鯖の味噌煮は、どうして日本各地で味が違うんだろう?」と。
全国どこの地域でも、鯖の味噌煮は安定しておいしい料理。どんな定食屋で注文してもおいしく食べられ、ハズレがないメニューなんですよ。ただ、その“おいしさ”もまったく同じではなく、地域によって微妙に味が違うんですよね。
これは、それぞれの地域で使われている「味噌」の味が大きく影響していると考えられます。例えば、名古屋で食べた鯖の味噌煮は、特にインパクトが強かった覚えがあります。
改めて考えてみると、赤味噌ベースで作られていたから、ものすごくこってりとした風味になっていたのだと思います。逆に、関西方面の鯖の味噌煮はさっぱりとした風味と口当たりが印象的です。こちらは西京味噌をベースに煮込んでいるからですね。
このように、一口に「鯖の味噌煮」と言っても、味のバリエーションは非常に豊かです。
みなさんも家庭で鯖の味噌煮を作るときには、たまにはいつもと違う味噌を使って作ってみると、新たな発見があるかもしれませんよ。そして、食べるときには鯖の骨に注意して、勢いよくパクッといきたいもんですね(笑)。
もしかすると、あなたが作った鯖の味噌煮で、新たな恋が始まるかもしれない!? ――そんな“恋活”にも役立ちそうな鯖の味噌煮については、以下の記事を参考にどうぞ!