ユネスコ無形文化遺産にも登録され、海外にもその素晴らしさが浸透しつつある「和食」。盛り上がりを見せる一方で、和食に欠かせない調味料、味噌の消費量が近年減少しつつあります。
理由の一つとして、一人前の味噌汁を作るのが面倒くさい、塩分が高い、などが挙げられています。
確かに少ない分量の味噌汁を作るのは手間ですよね。少量の味噌汁用の具材をいちいち切るのも面倒です。
また、味噌汁は塩分が高いというイメージもあり、毎日飲んでも大丈夫かな?と不安な方もいるかと思います。
そんな方に是非オススメしたいのが「味噌玉」です。
味噌玉とは味噌とお好きな具材を丸めて小分けにしたもので、お湯を注ぐだけで 1 人前の味噌汁があっという間にできる優れものです。
味噌の分量も自分好みに調節できるので、塩分も上手にカットできます。
今日は管理栄養士ライターの私が、味噌玉の作り方と、味噌玉にちょい足ししたいいち押し食材をご紹介します。
知って欲しい!味噌の栄養
まずは味噌の栄養についてご紹介します。
味噌は良質なたんぱく質を豊富に含む大豆を原料として生成される発酵食品です。
その他にもビタミン、カリウム、カルシウム、食物繊維など様々な栄養素が含まれており、栄養的にも優れた食品です。
味噌の代表的な効能にコレステロールの抑制や骨粗鬆症予防があり、江戸時代には「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」ということわざがあるほど、古くから日本人には不可欠なものとなっています。
味噌玉を作るメリット
栄養価の高い味噌を手軽に摂取できる味噌玉。
味噌玉を作ることで嬉しいメリットがたくさんあります。
① 飲みたいときに一杯だけでもすぐに飲める
一人分の味噌汁のためにお湯を沸かし、味噌をはかり、具を入れるのは手間がかかります。また、食事時にはコンロがいっぱいで味噌汁を温めるスペースが無い!というご家庭もあるかと思います。
味噌玉を常備しておけばお湯を注ぐだけで簡単に食卓の一品ができます。
② 時間短縮に
時間が無い朝食や、疲れて帰ってきた夕食の時にも、さっと味噌汁を用意することができます。
洗い物もぐっと減るので、片付けの時間短縮にも役立ちますね。
③ 好みの濃さに調節可能
味噌汁を作る際、毎回味噌をどれくらい入れていいのか分からず、薄味になったり、濃くなりすぎたりとなかなか味が決まらない経験、ありませんか?
味噌玉は 1 杯分の味噌の分量に小分けされているので、いつでも自分好みの濃さの味噌汁が飲めるのです。市販のインスタントの味噌汁は塩分が高そう・・・なんて人にもぴったりです。
味噌玉を作ってみよう!
味噌玉のメリットが分かったところで、実際に味噌玉を作ってみましょう。
*レシピ*(約 8 個分)
【材料】
・味噌 100g
・粉末だし 少々(だし入り味噌を使用する場合不要)
・お好きな具材(今回私は乾燥ほうれん草、ごま、とろろ昆布を用意しました)
① 味噌と必要により粉末だしを混ぜ、ほうれん草を混ぜ込みます。
② 味噌を丸めていきます。私は 15g くらいが丁度いい濃さですが、何度か作って自分の好みの量を掴んで下さい。
③ 表面にごまやとろろ昆布をまぶします。
④ ラップに包めば完成です!
長期保存をしたい場合は冷凍保存もできます。その場合、具材は今回のような乾物や、油揚げなど水分の少ないものにしましょう。製氷皿などにつめて保存すれば冷凍庫内もスッキリします。
管理栄養士いち押し!ちょい足し食材
味噌玉で作る味噌汁は、市販のインスタント味噌汁より塩分控えめで、ヘルシーです。
ここで、管理栄養士の私がさらにヘルシーでからだにも優しい味噌汁にするためのいち押しのちょい足し食材を厳選しました。
早速ご紹介します。
・生姜
生姜は体を温める効果があることはよく知られていますね。生姜に含まれる成分、ショウガオールは体を温め、体内の血流を良くする働きがあります。
ですが、生姜の効能はそれだけではありません。
生姜の辛み成分「ジンゲロール」には胃の働きを助ける効果があります。二日酔いやつわり時には、吐き気を抑えてくれます
その他生姜には殺菌作用もあるので、風邪予防にも一役買ってくれます。
冬には特におすすめしたいちょい足し食材です。
・七味唐辛子
スパイスやハーブはその香りと辛さで高い減塩効果が期待されています。その中でも私がおすすめしたいのは七味唐辛子です。
いつもより薄めの味噌汁に七味を足すだけで、味が薄いと感じることなく飲むことができます。
辛みもポイントとなりますが、七味にはごまや柑橘類の皮(陳皮)など香り成分が含まれているので、風味豊かな味噌汁を楽しむことができます。
・ゆず
鍋の季節にスーパーでも多く出回るゆず。果汁だけ使って皮を捨ててしまっていませんか?
柚子の皮は料理のちょっとしたアクセントに最適。ふろふき大根や焼き魚にちょっと添えればたちまちこじゃれた料亭のように。
千切りにして冷凍しておけばいつでもサッと使えるので、私は柚子を買う度に皮だけ冷凍庫にストックしています。
そんな柚子皮も味噌汁に入れればたちまち柑橘の香りが広がり、減塩効果があります。
彩りもよく、柚子の皮にはビタミン C も豊富でおすすめです。
まとめ
近年、健康志向が高まり、減塩のため味噌汁を控えている人も多いそうです。
ですが記事冒頭でもご紹介したように、味噌には様々な栄養が含まれています。
また、現在では抗がん作用も取り上げられており、味噌汁を飲む回数が多い人ほど、胃がんによる死亡率低下も報告されています。
このように、塩分と上手に付き合っていけば、味噌は体にいい食品です。
減塩効果もあり、手軽な味噌玉を利用して、塩分と上手に付き合っていきましょう。
writer:矢崎海里
大学を卒業後、大手企業の栄養管理業務を行いながら勉強をし、管理栄養士国家試験に既卒で合格。
現在は管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。
レシピ考案が好きで、一度作ったものは作らず、常に新しいメニューを自炊し楽しんでいる。
趣味は旅行で、20代のうちに47都道府県行くことが目標。