今年もやってきた梅雨の季節。
皆さん、梅雨にどんなイメージを持っていますか?
雨ばかりで憂鬱、じめじめして洗濯物が乾かない、カビが生えやすい……と、あまりいいイメージはありませんよね。
私はくせっ毛なので、梅雨の時期はいつも憂鬱。
朝ベストな状態にセットした髪型も駅に着く頃にはぐちゃぐちゃで、気分が上がらない季節です。
そして、雨の日が続く梅雨の時期、体調不良に悩まされている方もいるのではないでしょうか。
なんだか頭が痛い、節々が痛む、食欲が出ない……。
その症状、実は「湿気」と大きく関係しているかも知れません。
今日は梅雨の時期に起こる体内トラブルや、その対処法を管理栄養士の視点でご紹介していきます。
皆さんが憂鬱な季節を少しでもストレスなく過ごすことができれば幸いです。
梅雨の時期よく聞く不快指数とは?
梅雨の時期、天気予報などでよく耳にする「不快指数」。
不快指数とは、日中の蒸し暑さを表す数値です。
不快指数=0.81×気温+0.01×湿度×(0.99×湿度-1.43)+46.3
この式に気温、湿度を当てはまることで算出することができます。
数値の目安としては、
~55 寒い
55~60 肌寒い
60~65 何も感じない
65~70 快い
70~75 暑くない
75~80 やや暑い
80~85 暑くて汗が出る
85~ 暑くてたまらない
となっており、不快指数77で約65%、不快指数80以上でほとんどの人が深いと感じるというデータがあります。
梅雨時期にはこの数値が90を越えることも。
気になるけどいちいち計算が面倒、という人も、日本気象協会のWebサイトで随時最新情報を掲載しているので、確認してみてはいかがでしょうか。
梅雨時期は何故体調不良が起こるのか
梅雨の時期は、1年で最も気温差が大きくなる季節と言われています。
雨が降ることで肌寒くなる一方、つかの間の晴れ間で真夏並みの気温になることもあり、風邪を引きやすい時期です。
しかし、本当の原因は「湿度」にあります。
湿気により、本来正常に機能している血の巡りなどが妨げられ、体内の水分バランスが崩れてしまいます。
体内の余分な水分の排出が滞ることで、様々なトラブルを引き起こします。
・頭重感、頭痛、関節痛
・むくみ
・食欲不振、疲れやすい、気分がのらない
湿気の悪さにより、最も影響を受けるのが胃や腸、肝臓などの消化器系です。
上記で述べた食欲不振以外にも、胃もたれやだるさを感じる原因にもなります。
症状別おたすけ食材
特に梅雨や雨などでの体調不良の自覚がなかった人も「そういえば梅雨の時期は何となく食欲が落ちるな」など、思い当たる節もあるのではないでしょうか。
まず最も簡単な対処法として、部屋の湿度を40~60%と、過ごしやすいと感じる数値に保ちましょう。
窓を2カ所以上開け空気を通し換気をする、エアコンの除湿機能を使用するのも一つの手です。
また、軽い運動やストレッチも効果があると言われています。
勿論、リラックスして心を休める、睡眠もとても重要な要素です。
ここからは、いよいよ管理栄養士視点で食事面からの改善方法を症状別にご紹介していきます。
・偏頭痛→ビタミンB1
偏頭痛のメカニズムはまだ解明されていませんが、ビタミンB1は偏頭痛を減らす効果がある栄養素とされています
含有食材:魚介類、レバー、牛乳・乳製品、納豆など
・食欲不振→酸味や辛みのある食材、ムチン
酸味や辛み、香りをうまく利用し、食欲を刺激しましょう。また、ネバネバの成分ムチンは胃の粘膜を保護する作用がありおすすめです。
含有食材:お酢、梅干し、しそ、みょうが、柑橘類、とうがらし(酸味、辛み、香り)
納豆、山芋、オクラ、なめこ、モロヘイヤ
・胃もたれ→アミラーゼ
アミラーゼはデンプン消化酵素で、その名の通り糖質の消化を促進する働きがあります。消化酵素は熱に弱いので、加熱せず生で食べるのがおすすめです。
含有食材:山芋、大根
・むくみ→カリウム
むくみは、高い湿度により、水分代謝が悪くなっていることが原因です。カリウムは利尿作用があり、体内の余分な水分を排出してくれます。
含有食材:いも、海藻、豆、野菜、果物、魚介
このほかにも、エネルギー代謝を活性化させるビタミンB群は疲労回復に、抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eは免疫力アップに、神経の興奮を鎮めるカルシウムやマグネシウムはストレスに、それぞれ効果があります。
梅雨におすすめ!管理栄養士厳選レシピ
ここまで様々な症状への対処法や食材を紹介してきましたが、一番はしっかりとバランスよく栄養を取ることです。
どんな食材を食べればいいかはわかったけど、どうやって取り入れればいいのか困っている方に、この時期おすすめのレシピを2つご紹介します。
・海老のオニオングラタンリゾット
材料(1人前)
精白米 90g
玉葱 1/2個
むき海老 5尾
かぶの葉 少々
お湯 100cc
コンソメ 小さじ1/2
とろけるチーズ 大さじ1と1/2
粉チーズ 少々
黒胡椒 少々
作り方
① 玉葱はみじん切りにし、かぶの葉は1cm程の長さに刻み、塩もみする。
② フライパンでバターを溶かし、玉葱を色が変わるまで炒める。
③ 軽く洗ったお米を入れ、バターがなじむまでよく炒める。
④ コンソメを溶かしたお湯を5回に分けて入れながら炒める。
水分が飛んだらコンソメを足し、お米の固さを見ながら調節する。
⑤ とろけるチーズを入れ、溶けたら器に盛り、かぶの葉、黒胡椒、粉チーズをちらし、完成。
※炊いたご飯を使用する場合は、水の量を調節して下さい。
エネルギー:486kcal 塩分:1.5g
梅雨撃退ポイント
お米は消化が良く、胃腸回復効果もあります。また、玉葱の辛みと刺激の成分である「硫酸アリル」は、偏頭痛を和らげる効果があるとされる、ビタミンB1の吸収を促進する働きがあります。
コンソメの旨味とチーズのコクで、食欲がない時でも食べやすいメニューです。
・ささみと香味野菜のおろしパスタ
材料(1人前)
スパゲッティ 80g
茹で塩 少々
麺つゆ(3倍濃縮)
鶏ささみ 1本
酒 少々
梅干し 1/2個
はちみつ 大さじ1/2
大根 2cm分
生姜 少々
万能ネギ 少々
みょうが 1個分
作り方
① 大根は2cm分ほどをすりおろし、軽く水を切る。
② 生姜とみょうがは千切りに、万能ネギは小口切りにする。
③ 鶏ささみは酒を振りかけ、電子レンジで火が通るまで加熱し、ほぐす。
④ 種を取り、叩いた梅とはちみつを混ぜ、③のささみと和える。
⑤ 鍋に湯を沸かし、沸騰したら塩を入れスパゲティを茹でる。
⑥ ゆであがったら湯切りをし、麺つゆで味付けをする。
⑦ 器にスパゲッティを盛り、ささみ、大根おろし、②の薬味を盛りつけ、完成。
エネルギー:488kcal 塩分:3.9g
梅雨撃退ポイント
食欲がない時にぴったりの一品です。大根を生で使用することで、大根に含まれる消化酵素を壊すことなく摂取することができます。
さらに万能ネギ、生姜、みょうがと香味野菜をふんだんに使うことで、爽やかな香りで食欲を刺激します。
梅干しの酸味もポイント。クエン酸は疲労回復効果があり、連日の雨で不調な身体や、ストレスを和らげる働きがあります。
まとめ
梅雨の時期は体調も優れず、じめじめしてストレスも溜まりやすい時期。
時には無理をせず、十分な休息を取ることも大切です。
今回紹介した食材を食事に取り入れ、しっかりと栄養を摂り梅雨を乗り切りましょう。
writer:矢崎海里
大学を卒業後、大手企業の栄養管理業務を行いながら勉強をし、管理栄養士国家試験に既卒で合格。
現在は管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。
レシピ考案が好きで、一度作ったものは作らず、常に新しいメニューを自炊し楽しんでいる。
趣味は旅行で、20代のうちに47都道府県行くことが目標。