地方調味料“偏愛”ライターの杉山きこりです。
すっかり初夏の陽射しとなってきましたね! 先日、山梨・白州へ行ってまいりました。その地名から連想されるとおり、サントリーの「白州蒸留所」があることでも有名です。南アルプスの雄大な景色や名水百選に選ばれる尾白川に、心洗われてきました。
この白州の中心地とも言えるのが台ヶ原宿エリアで、古民家や蔵、老舗和菓子店やカフェなどが点在したプチ観光名所。江戸時代、甲州街道の宿場町だったので、今でも情緒あふれる素敵な町並みが残っています。
中でも、圧巻だったのが山梨で有数の酒蔵「山梨銘醸」。「七賢(しちけん)」のお酒で知られています。立派な杉玉とこの堂々たる佇まいにすっかり魅了され、吸い込まれるように蔵内へ。そこで偶然見つけた、美味しい調味料を今日はご紹介します。
300年続く老舗・七賢の酒蔵が面白い
山梨銘醸は江戸時代の寛延3年創業、300年続く老舗酒蔵。甲斐駒ケ岳の伏流水で仕込んだ日本酒「七賢」は、清らかでキレのある味わいで人気です。麹作りから搾りまで手間暇かけて造られたお酒で、蔵内で試飲や利き酒もできるのでお試しあれ。
また「糀’sカフェ」と言う糀糖を使ったスイーツが楽しめるカフェもあって、世界観をじっくり楽しめる空間になっています。11月〜5月のみ醸造蔵の見学(無料予約制)もでき、またお隣には七賢直営のレストラン「臺眠(だいみん)」もあって、白州の旬の献立をいただけます。次回はぜひこちらも訪れたいと思います。
酒メーカーが作る「糀」を使った調味料を発見
利き酒をするコーナーに、調味料や甘酒を発見! 麹は日本酒作りには欠かせませんが、味噌や醤油、お酢、みりんなど、日本の職に欠かせない調味料にも使われています。七賢では酒造りに使うものを「麹」、食品に使うものを「糀」として使い分け、食品ブランド「ひとさじ糀」を立ち上げています。発酵文化や和食の素晴らしさ両方を伝えているのですね。
江戸時代の伝統調味料「煎り酒」ってなに?
この「ひとさじ糀」シリーズの中に、「造り酒屋の煎り酒」という調味料がありました。見た目的にはだし醤油っぽい色をしていますが、醤油ではなさそうです。
「煎り酒」とは、純米酒にカツオと節と梅干しなどを入れ、煮詰めて作る江戸時代からの伝統的な調味料。昔は醤油が高価なものだったので、庶民の調味料として「煎り酒」が主流だったとか。醤油が普及してからは使われなくなりましたが、塩分控えめでダシの上品な味わいから、最近また注目されています。
利き酒コーナーでこちらも試飲させてもらえるので実際に試してみると、梅の酸味が利いてさっぱり! これはお刺身や冷奴などにかけて、夏の食卓によく合いそうです。あと七賢の純米酒のみを使って酢酸発酵させた純米酢と、高知のゆず果汁のみで作った「造り酒屋のゆずぽん酢」、こちらも爽やかな味わいです。オリーブオイルと混ぜてドレッシングとして使いたかったので、これら2本を購入することに。
夏の食卓にぴったり!煎り酒とゆずぽん酢でさっぱりメニュー
自宅に帰って、早速「煎り酒」を使ってみました。
オススメの使い方として「お刺身のお供に」とありましたが……、すごくいい! お醤油とは違って、素材自体の味がすごく引き立ちます。脂の乗ったお魚もさっぱりいただけて、これはクセになりそう!
カツオのたたきにも合いそうだったので、薬味の上からかけてみました。こちらも非常に口当たりがよく、ほかの調味料とは違って主張しすぎず、素材そのものを引き立たせる調味料ですね。
この日は新玉ねぎのサラダに「ゆずぽん酢」をシンプルに和えました。酸味が効いて、これも食欲のない夏には活躍しそう。ほかにも「酢の物やドレッシングに」とありましたので、今度はカルパッチョやサラダに使ってみたいと思います。
<まとめ>
酒蔵で偶然見つけた「煎り酒」。本当に初めての出会いでしたが、醤油同じように使っても全然違いました。なにせ素材と合わせた時が本当に美味しかったです。お酢の酸味がほどよく効いた「ゆずぽん酢」も多彩な楽しみ方ができました。
今回の白州旅では、酒蔵での偶然の出会いが大ヒットとなりました! こうした楽しさが「地方調味料」にはあるのです! ぜひ、旅先では調味料を探してみてくださいね。また、気になる方は七賢のHPからも購入できますのでぜひ覗いてみてください。(各360ml 864円。)
取材・文/杉山きこり
Writer:杉山きこり
女性誌、地方旅行ガイド本などで活動する編集ライター。仕事やプライベートで地方に行くと必ず道の駅や地元スーパーに立ち寄り、各地の思い出とともに調味料をお持ち帰り。お取り寄せもするが、できるだけ現地に出向いて偶然の出会いを楽しみたい…!そんな地方調味料の楽しみ方を、皆さんにもご紹介させていただきます。